2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧
『カラマーゾフの兄弟』においては『実行的な愛』という言葉がしばし出てくる。この言葉が最初に出てくるのは『場違いな会合』にて、娘のリーズとともに修道院にやってきたホフラコワ夫人と、ゾシマ長老のやり取りである。ホフラコワ夫人は『来世』というも…
臨終の間際、ゾシマ長老はアリョーシャにこう語っていた。 「お前はこの壁の中から出ていっても、俗世間でも修道僧としてありつづけるだろう。大勢の敵を持つことになろうが、ほかならぬ敵たちでさえも、お前を愛することになるだろうよ。人生はお前に数多く…
私が『カラマーゾフの兄弟』という作品に出会ったのは昨年の五月末だった。以前も触れたがドストエフスキーは名前こそ知っていたもののまともに読んだことはなく、おそらく一生手を出すことはないだろうと思っていた。しかし当時読んでいた読書術的な本に『…