月宮の日記

読んだ本の解釈とか手帳とかだらだらと自分の考えを好き勝手語っていくだけのブログ。作品のネタバレも普通にあるので注意。※2024/2/29 更新再開

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『実行的な愛』と『人間の顔』①

『カラマーゾフの兄弟』においては『実行的な愛』という言葉がしばし出てくる。この言葉が最初に出てくるのは『場違いな会合』にて、娘のリーズとともに修道院にやってきたホフラコワ夫人と、ゾシマ長老のやり取りである。ホフラコワ夫人は『来世』というも…

アリョーシャの『不幸』とスメルジャコフ

臨終の間際、ゾシマ長老はアリョーシャにこう語っていた。 「お前はこの壁の中から出ていっても、俗世間でも修道僧としてありつづけるだろう。大勢の敵を持つことになろうが、ほかならぬ敵たちでさえも、お前を愛することになるだろうよ。人生はお前に数多く…

『カラマーゾフの兄弟』読了一年

私が『カラマーゾフの兄弟』という作品に出会ったのは昨年の五月末だった。以前も触れたがドストエフスキーは名前こそ知っていたもののまともに読んだことはなく、おそらく一生手を出すことはないだろうと思っていた。しかし当時読んでいた読書術的な本に『…