月宮の日記

読んだ本の解釈とか手帳とかだらだらと自分の考えを好き勝手語っていくだけのブログ。作品のネタバレも普通にあるので注意。※2024/2/29 更新再開

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

それぞれの『父親殺し』

「お互いにしらを切りやがって。嘘つきめ! だれだって父親の死を望んでいるんだ。毒蛇が互いに食い合いをしているだけさ……父親殺しがなかったら、あいつらはみんな腹を立てて、ご機嫌斜めで家へ帰ることだろうよ……とんだ見世物さ!『パンと見世物』か。もっ…

ノート好きによるノートへのこだわり

わたしはノートが好きである。これまでもいろいろなノートを使ってきた。今回はそんな中でこういうノートが私にとってベストだ!という条件をちょっと書いていきたい。 ①サイズはA5がベストノート術の本を読んでいると、ノートのサイズについて『思いついた…

スメルジャコフ、最期の一か月間④

スメルジャコフが自殺に至るまで、彼がフョードルを殺害してから『神秘的な客』ミハイルと同じように『生ける神』の手の内にあり『真の罰』を受けていたこと、彼を赦し、彼のために祈ってくれる『親切な人たち』の存在があったこと、だが彼自身が『親切な人…

ショーペンハウアー『読書について』②

表題の『読書について』は前回の記事で触れたので、今回はほかの二編『思索』と『著作と文体』について書いていきたい。これ本当に面白い。何度も読み返したくなる。まあ、書かれていることは『読書について』と大隊同じではあるが、ここでは読書そのものよ…

ショーペンハウアー『読書について』①

岩波文庫版だと『ショウペンハウエル』表記になっているが、『ショーペンハウアー』のほうが一般的っぽいので当ブログでもショーペンハウアーでいきます。 この本は『思索』『著作と文体』『読書について』の3編が収録されているのだが表題の『読書について…

納得しかねること

『スメルジャコフ、最期の一か月間』の続きを書こうと思ったが、今日はそんな気力がないのでちょっと独り言。 同じシベリア流刑でも『罪と罰』のロージャが二人殺して8年なのに、『カラマーゾフの兄弟』のミーチャが誰も殺してないのに20年なのは理不尽だと…

スメルジャコフ、最期の一か月間③

前回『神秘的な客』(第6編2D)ミハイルが十四年間落ちていた『生ける神の手』が殺人者に対する『真の罰』であり、またスメルジャコフも同じく『生ける神の手』に落ちていたのではないかと考えた。この『生ける神』とは何者なのか。ただ罪人に裁きを与えるた…

スメルジャコフ、最期の一か月間②

わたしに圧倒的に足りないものは構成力だと思う今日この頃。 というわけで今回の記事もかなりの遠回りになる。前回の記事で『今は亡き司祭スヒマ僧ゾシマ長老の生涯より』に収録された『神秘的な客』の事件がフョードル殺害事件に似ているということに触れた…

スメルジャコフ、最期の1ヶ月間①

フョードル殺害後、スメルジャコフは本物の癲癇発作で倒れ、病院に入院することになった。事件の四日後、イワンと最初の対面をしたときのスメルジャコフの様子はこうだった。 最初の一瞥でイワンは、相手が完全な極度の病的状態にあることを、疑う余地なく信…

『スメルジャーシチャヤの父なし子』

スメルジャコフは自身の出自に対してコンプレックスを抱いており、それが『神がなければすべては許される』という思想に本気で取り組み、フォードル殺害の動機につながった、というのが私の解釈である。スメルジャコフ自身もマリアに対してこんなことを言っ…

文脈

今回は『親切な人たち』の続きを書こうと思ったが、その前に自分なりに本を読むときに気を付けたいこと、考察や解釈をブログで書くときにきをつけいたいことをちょっと書いていきたい。余計な文書を挟んでしまうことを許していただきたい。 言うまでもないが…

『親切な人たち』

以前の記事でも『スメルジャコフは決して誰からも愛されなかったわけではない』といったことを書いたが、その理由は、彼の周囲にいる『親切な人たち』の存在にある。 「マルファ・イグーナチェヴナがわたしを忘れずにいてくれて、何か必要なものがあると、今…